ウイルスとは、何ですか?生き物ですか? -序章

ウイルスは、「生物と無生物の中間的存在」と表現されることがあります。ウイルスは細胞を持たず、自己でエネルギーを生産したり、自己増殖したりすることができません。ウイルスは宿主(しゅくしゅ)と呼ばれる他の生物の細胞に感染し、その細胞の仕組みを利用して増殖(複製)します。従って、ウイルスは、生き物(生物)の分類には入りません。しかし、ウイルスは、進化の能力を持っていて、新しい進化・変異ウイルスが次々と現れてきます。よって、ウイルスは、生物学的な観点から重要な位置づけにあります。
最近では、様々な学術的証拠から、ウイルスがより生物に近い存在であることが論じられ、「ネオウイルス学」という新しい分野のウイルス研究も進んでいます (1)。さらに、近年、巨大ウイルス (giant virus)と呼ばれるウイルスの存在も明らかになり、これまでのウイルスは電子顕微鏡でなければ見えないほど小さく単純という古典的定義を見直す必要が出てきています。つまり、ウイルスに対する認識は、常に新しくなっています。