キッチンに潜む赤カビの正体とは?

キッチン掃除をしていて、「なんかここ、また赤くなってる…」「ちゃんと洗ってるはずなのに、すぐぬめる…」こんな“赤カビあるある”に心当たり、ありませんか?
目立つわけではないけれど、じわじわと広がるピンク〜赤色のぬめり。実はこれ、「ロドトルラ」という微生物が原因で、単なる見た目の問題ではないんです。
この記事では、キッチンに潜むその“赤カビ”の正体と、健康リスク、ウイルスとの関係、家庭でできる予防法まで、わかりやすく解説します。
赤カビのようなぬめりの正体とは
キッチンでよく見かけるピンク〜赤色のぬめり。その正体は、「ロドトルラ(Rhodotorula)」という酵母菌の一種です。見た目はカビに似ていますが、厳密にはカビではなく、水気や栄養のある場所で増える酵母菌です。一見、無害そうに見えても、免疫力が落ちている人には感染症の原因になることもあり、早めの対処が必要です。
なぜキッチンでよく発生するの?
ロドトルラがキッチンで増えやすいのには、はっきりとした理由があります。
・水分が常にある(シンク内、スポンジ置き)
・食べ物のカスや油分が豊富(菌のエサになる)
・室温が20~30℃と快適
・掃除が行き届きにくいすき間が多い
特に以下の場所が“ぬめりホットスポット”です。
・排水口のフチ
・三角コーナー
・水切りラック
・スポンジの裏や底
📊ロドトルラの特徴
項目 | 内容 |
色 | ピンク〜赤色 |
好む環境 | 湿気・油分・食べカス |
発生しやすい場所 | 水まわり全般 |
繁殖スピード | 24〜48時間で目に見えるぬめりに |
健康への影響について
ロドトルラは健康な人には基本的に無害ですが、免疫力が落ちている人にとっては感染リスクがあります。
この感染症は「ロドトルラ症」と呼ばれ、以下のような症状が起こることがあります:
・皮膚炎
・外耳炎
・角膜炎
・肺炎・血流感染(まれ、免疫抑制患者)
特に注意が必要なのは:
・高齢者
・がん治療や免疫抑制薬を使っている方
・乳幼児や基礎疾患のある方
ウイルスとの意外な関係
ロドトルラ自体はウイルスではありませんし、ウイルスと直接つながっているわけでもありません。ですが、ロドトルラが繁殖するような“湿気と汚れが多い環境”は、ウイルスも繁殖しやすい環境なんです。
例:
・汚れたスポンジからノロウイルスやインフルエンザウイルスが手を介して感染
・不衛生な台所から食中毒菌やウイルスが拡散
つまり、ロドトルラを放置することは、他の病原体の温床になる可能性があるという点で見過ごせません。
まとめ:赤カビ対策で家族を守る

予防の3原則は「乾かす・洗う・除菌する」
✅使った後は水気をふき取る
→ ふきんやキッチンペーパーでOK!
✅スポンジ・ふきんは吊るして乾かす
→ 煮沸や定期的な交換もおすすめ。
✅週1〜2回は熱湯を流す
→ 60℃以上のお湯で殺菌効果UP。
✅週1回は塩素系や消毒用アルコールのスプレーで除菌
→ 排水口やスポンジ置きなどにまんべんなくスプレー。
番外編:意外なぬめり注意スポット

実は、赤ぬめりはキッチンやお風呂だけじゃないんです。家庭のあちこちに、ぬめりの隠れスポットがあるので注意しましょう。少しでも水が溜まりやすいところにはいつでも可能性があります。ぬめりができると湿りやすいので、そのままにしておくと更に菌が増えることになります。
🧴 洗面所
歯ブラシ立て
コップの内側
洗面ボウルのフチや排水口
🧺 洗濯機まわり
洗剤投入口
ドラム式のゴムパッキン
排水口カバー
🐾 ペット用品
水飲み容器
ゴム製のおもちゃ
💧 加湿器・空気清浄機
水タンクのフタや底
フィルター
🚽 トイレまわり
手洗いタンク
ブラシホルダーの底
ウォシュレットのノズル付近
まとめ:毎日のひと手間で感染予防
赤ぬめりは単なる「見た目の汚れ」ではなく、健康リスクや感染症の土台となる存在です。とくに家族の健康を守りたい家庭では、ちょっとした習慣が大きな安心につながります。
✅こまめに水気を取る
✅汚れを残さない
✅定期的に除菌や煮沸をする
毎日のほんのひと手間で、ぬめりもウイルスも寄せつけない清潔な暮らしを守っていきましょう。
参照元
国立感染症研究所「真菌症に関する一般情報」
厚生労働省「感染症情報」
東京メトロ保健医療「健康・快適居住環境の指針(室内の環境整備とアレルゲン対策)」