10月から気をつけたい感染症は?秋冬に備えたい4つの感染症と予防のポイント
朝晩が涼しくなり、秋らしさを感じる10月。運動会や行楽など外出の機会も多い季節ですが、これから気になってくるのが秋冬の感染症です。
ただし、「10月になると感染症が一斉に流行する」というわけではありません。感染症によって、流行しやすい時期も、感染の広がり方も異なります。
これから秋冬に向けて知っておきたいのが、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎、ノロウイルスによる感染性胃腸炎です。
それぞれどのような特徴があり、家庭では何に気をつければよいのでしょうか。4つの感染症について、基本的な感染対策とあわせて見ていきます。
これから気をつけたい4つの感染症

「秋冬の感染症」とひとまとめにされることがありますが、流行しやすい時期は同じではありません。
インフルエンザは、日本では例年12月から3月ごろに流行し、1月末から3月上旬にピークを迎えることが多いとされています。新型コロナウイルス感染症は、近年、夏と冬に流行する傾向がみられています。
マイコプラズマ肺炎は一年を通してみられますが、秋冬に増加する傾向があります。ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒も一年を通して発生しますが、11月ごろから増え始め、冬に多くなる傾向があります。
つまり10月は、すべての感染症が流行のピークを迎える時期というより、これからの秋冬の感染症に備えて、特徴や対策を確認しておく時期と考えるとよいでしょう。
秋冬の感染症① インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症です。
発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなどが比較的急に現れ、のどの痛み、鼻水、咳などを伴うことがあります。
家庭でできる基本的な感染対策は、手洗い、咳エチケット、換気です。
咳やくしゃみをするときは、マスクやティッシュ、袖などで口と鼻を覆い、周囲に飛沫を広げにくくします。厚生労働省でも、インフルエンザや新型コロナをはじめとする感染症の対策として咳エチケットを呼びかけています。
インフルエンザについてはワクチンもあります。ただし、ワクチンを接種すれば感染しなくなるわけではありません。感染後に発症する可能性を低くする効果や、重症化を防ぐ効果が報告されています。
インフルエンザウイルスが、どのように細胞に結合して感染を始めるのかについては、予防研の研究ページでも詳しく紹介しています。
秋冬の感染症② 新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症も、秋冬に引き続き注意したい呼吸器感染症の一つです。
現在は、インフルエンザなどとともに急性呼吸器感染症(ARI)の一つとして発生動向が把握されています。厚生労働省では2026年も継続して発生状況を公表しています。
家庭でできる基本的な対策は、手洗い、咳エチケット、換気などです。
特に、高齢者や基礎疾患のある人と会うとき、医療機関を受診するとき、人が多く集まる場所に行くときなどは、状況に応じてマスクを使用することも対策の一つになります。
「マスクだけ」「消毒だけ」と一つの方法に頼るのではなく、生活する場所や周囲の人に合わせて、基本的な感染対策を組み合わせることが大切です。
秋冬の感染症③ マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌によって起こる呼吸器感染症です。インフルエンザや新型コロナとは異なり、原因はウイルスではありません。
一年を通してみられますが、秋冬に増加する傾向があります。また、患者として報告される人の約80%は14歳以下で、子どもや若い世代にも多い感染症です。
発熱、だるさ、頭痛、咳などがみられ、咳は熱が下がったあとも3~4週間ほど続くことがあります。
感染した人の咳のしぶきを吸い込むことによる飛沫感染や、感染した人との接触によって広がるとされています。家庭では、手洗いや咳エチケットなどの基本的な対策を意識しましょう。
ただし、「咳が長引いているからマイコプラズマ肺炎」と症状だけで判断することはできません。 咳が長く続くなど気になる症状がある場合には、医療機関で相談してください。
秋冬の感染症④ ノロウイルスによる感染性胃腸炎
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、特に冬に多くなります。
主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などです。ノロウイルスは手指や食品などを介して口から入り、感染につながります。
ここで覚えておきたいのが、インフルエンザなどの呼吸器感染症とは、対策のポイントが少し違うことです。
ノロウイルス対策では、石けんと流水による丁寧な手洗いが大切です。
石けんそのものがノロウイルスを直接「殺す」という意味ではありません。手の脂汚れなどを落とし、流水とともにウイルスを手指から落としやすくします。
また、アルコール消毒だけを手洗いの代わりにするのではなく、食事の前、トイレの後、調理の前、吐物や便を処理した後などには、しっかり手を洗いましょう。
食品からの感染を防ぐためには、必要な食品を中心部85~90℃で90秒以上加熱することが示されています。家族が嘔吐や下痢をした場合には、吐物や便を適切に処理し、周囲を汚染しないことも重要です。

感染経路に合わせて対策を変える
ここまで見てきた4つの秋冬の感染症は、原因となる病原体も感染の広がり方も同じではありません。
インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎などの呼吸器感染症では、手洗いや咳エチケット、換気などが基本的な対策になります。
一方、ノロウイルスでは、手洗いに加えて食品の加熱や、吐物・便を適切に処理することも重要です。
「秋冬だから、とりあえず同じ感染対策をする」のではなく、病原体がどのように人から人へ、あるいは食品などを介して広がるのかを知ることが対策を考える第一歩です。

感染がどこから始まるのかについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:感染はどこから始まるの?① ウイルスは“空気”じゃなく“ここ”から入る
関連記事:感染はどこから始まるの?② ウイルスはまず“ここ”にくっつく
関連記事:感染はどこから始まるの?③ 目・鼻・口、どこが一番危ない?
ワクチンについても秋冬前に確認を
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症にはワクチンがあります。
65歳以上の人や、60~64歳で一定の基礎疾患がある人は、定期接種の対象となっています。
インフルエンザワクチンについて厚生労働省は、例年の流行時期を踏まえ、12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています。
ただし、ワクチンを接種すれば感染症への対策がすべて終わるわけではありません。ワクチンの効果と日常の感染対策は分けて考え、必要な人は接種について自治体や医療機関の情報を確認しておきましょう。
家庭でできることを10月から確認しよう
10月は、すべての感染症が一斉に流行する時期ではありません。
しかし、これから秋冬に向けて、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎、ノロウイルスなど、気をつけたい感染症があります。
同じ秋冬の感染症でも、流行しやすい時期や感染経路はそれぞれ異なります。
大切なのは、必要以上に怖がることではなく、感染症の特徴を知り、手洗い、咳エチケット、換気、食品の衛生管理など、その感染経路に合った対策を日常生活の中で続けることです。
もし家族に発熱などの症状が出たときには、家庭内での過ごし方についても確認しておくと安心です。
関連記事:家族が発熱したときの感染対策|タオルや食器、洗濯物は分ける?
参考資料
厚生労働省「急性呼吸器感染症(ARI)に関するQ&A」
厚生労働省「急性呼吸器感染症(ARI)」
厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」
厚生労働省「インフルエンザに関する報道発表資料 2025/2026シーズン」
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2026年」
国立健康危機管理研究機構「マイコプラズマ肺炎」
厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
厚生労働省「感染性胃腸炎(特にノロウイルス)」
厚生労働省「咳エチケット」
厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」









